織姫 MIEさんへ
今年でお互い 社会人になって25年だ
知り合って29年
結婚生活23年
MIEさん
この前帰ってきたとき
「ああ…はた織りして暮らしたい」って呟いた 昼下がり
でも 知ってる
網膜剥離やった君の目は 人工のレンズ 入れはしたけど
虹彩開放時の焦点が合わないってこと
(デジイチでいうところの バックがボケるほどの開放でのピン合わせができない)
視野が狭くなったのはまだなんとかなるとして…
はた織り機による手織り作業
一般の人は 「鶴の恩返し」ではないけど
杼(ひ)といわれる 中に横糸を仕込んだ木製の楕円形のモノを
左右に渡しつつ ばったん ばったんって織り上げてゆく…
そんなシーンを思い浮かべるだろう
しかし それは 最後の 最後の 一工程に過ぎない
横糸が絡むためには 縦糸がはた織り機に 延々と正確にセットされねばならない
デザインを考え 大量の糸を準備し
デザインが実際の布になるように…
想いをはせつつ…
ものすごく地道で 集中力を要する作業
整経
綜絖(そうこう)通し
この穴の中を一本の糸が走る
筬(おさ)通し
その上に 糸車で杼に装着するための横糸の巻き取り
ストイックで静かで
観ていて嫌いな所作ではないが
キミにはしんどいかもな
でも あの部屋で キミが奏でる“はた音”
もう一度聞きたいよ
退職まで10年以上
その後からはじめるとしたら 遅すぎる
僕はもう 絵描きになる夢はついえたけども
楽しく(自己満足だと突っ走って行ったライバルは笑うだろうけど)お気楽に絵は描けるよ
夢と 現実
“暮らしの糧”を得るために 捨ててきた“生きるための糧”の大きさに愕然とする
まあ でもね これは 僕たち夫婦だけの悩みじゃないと思うけどね
こうやって 人生を終えてゆくんだろう
何もかも かなぐり捨てて 自分の好きなことに邁進できることこそ
一番の才能だと思う
by win-twins
| 2008-06-02 23:56
| 雑