よいおっさんへの道

彼岸過迄

このタイトル 夏目漱石の小説 どんなストーリーだったか… 
なんか 今で言えば 考えばかり先走り 煮え切らない男の半端な生き様 みたいな感じだったような そうでないような
忘れたなぁ ずいぶんと 

a0102098_19225757.jpg彼岸 昼過ぎ 雨上がり 親父の墓を訪れる 
最近 彼の墓の湯飲み茶碗が こんなものになってる


お盆過ぎだったか…
母親と兄と私の三人で 亡父が職をリタイア後のご贔屓の店だった 私の実家から歩いていける 「成田家 平野店」 を訪ねる
私は 鳥酢とイカ納豆と砂ズリ串塩焼きで生ビールを一杯飲んだあと 酒(日本酒)にしてみた
受け皿に乗ったこの酒杯が目の前に置かれ 燗酒の入ったポットでなみなみと注いでくれる
そして その燗酒はついに溢れて 受け皿に流れ込むのである

そのあたりで 店の女の子はおもむろにポットの注ぎ口を水平にもどして そそくさと立ち去る
そして 私は溢れてたまった酒からすする… 
といった 当時としては(私としては)相当にインパクトの強いこの店の演出を初めて見せてくれたのも 親父だったか

その後 成田家は全県各地に暖簾わけの店舗展開
奥田の奥のほうには 結婚式場なども立ち上げた時期もある

店の大将が カウンター越しから話しかける
「ご主人 最近見ませんが…」

母親が「はい もうなくなって1年以上経ちます」

「… そうですか」

しばらくして 大将が 今は墓前に置かれてある あの酒杯をひとつ母に差し出す
「お得意さんでした これを是非 墓前に…」

ありがとうございます
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彼は この店で焼酎の湯割りを4杯飲んだ
さあ 帰ろうとすると 足が立たなくなっていた
手術後 大腿部付根を中心として 左足の自由が利かなくなっていた
これも手伝っているのだと思うが あの晩 彼を私が背中におぶって帰った

「すまんのぉ オカンには内緒な」

「へいへい」

そりゃぁ こんな醜態 母が目にしたら 火のようになって ボロカスに言われたろう

その夜が 親父の 最後の 成田家となった

様々などこか似たような居酒屋が 群雄割拠する今 こういった入れ込みはおしゃれじゃないのだろうが こんな時代だからこそ この 成田家には 生き残ってもらいたいと心から願っている

外観が相当におしゃれになった 成田家平野店
中に入ると お品書きにまったく変化はない 全くもって 成田家である
そして 酒は 加茂五葉…

by win-twins | 2007-09-25 22:06 |